~していただいてもよろしいでしょうか
以前「~してもらっていいですか」について述べたが,この表現は既にひろく世人の受け入れるところとなったようで,ビジネスシーンでも「見積書を作成してもらっていいですか?」などと言われてしまったりする。「いいの? 悪いの? はっきりしなさいよっ」と迫られているようで,どうにも馴染めないが,まあこの程度は仕方がないのかもしれない。
とおもっていたら,ビジネスシーンで用いられるということは「妙な敬語化」の対象にもなるわけで,あるメールでこんな文章を見た。
明日の会議,プロジェクターをご用意していただいてもよろしいでしょうか。
これは気持ち悪い。なるほど,「もらう」の謙譲語「いただく」を持ってきたわけで,それはそれで正しいが,かえって行為の主体がわかりにくくなり,プロジェクターを用意するのはいったい誰なんだろうと迷う。誰か第三者(わりとえらい人)に用意してもらうような感じがする。「プロジェクターをご用意させていただいてもよろしいでしょうか」という表現ならまともだが,それだと意味が全く違ってしまう。主語を省略し敬語で主客を示すという日本語の表現技法が,今まさに崩壊の危機に瀕しているように見える。
「○○さん,結婚してもらっていいですかっ!?」
と言われたら,・・・誰と結婚するのだろうか?
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